■恐れていたこと

昨日も優君(まきちゃん=改名)と会っていた。
ふと。「前の子の時は…」と出た言葉がなんだか引っかかったので、悲しくなって、一悶着あった。

でも、帰りには仲良くなって公園を散歩していると、優君の様子が少しおかしい。
顔色がさえなくて、言葉が重い。

「どうしたの?なにかあった?」
「…。」
答えないので、尋問に突入。

するとあっさり吐露。
「おばあちゃんが、難色をしめしている」との内容。
難色とは、私と結婚することを反対しているということで。

実はこれが一番怖かった。

優君は2年前一年半付き合った彼女と、おばあちゃんに反対されて、彼女を諦めたという過去がある。
彼女は「それでも結婚したい」と言っていたのに、信じられないことに、彼は疲れてしまって、フェードアウトしてしまった。
つまり、逃げた。

逃げて、それでも彼女を忘れられずに2年過ごしていた。

私はそれが引っかかって何度も問い詰めた。
優君は「サクラはそんな思いさせない。あの時とは違う。僕もそんな思いは二度としたくない。」重い口調で私に誓う。

そんな思い。
そんな思いは二度としたくない。
そんな思いってのは何を指しているのかがわからず私はそれでも不安だった。

「逃げて、それでも彼女を忘れられずに苦しむ思い」なのか?
「おばあちゃんに反対されて、彼女との板ばさみに苦しむ思い」なのか?

私が聞きたかったAnsは、「そんな事がもしあることがあっても絶対諦めない」という強い意思表示が欲しかった。

優君はずっと、ずっと、私のことが好きだったけれど、私は彼の「欲しいものを家族の為に面倒だから諦める」という弱さを許せないし、見過ごさない。

「お見合いなのに信じられないよね。」
「ごめん。」
「でも心配かけたくなかった」
「おじいちゃんとかは反対してないから大丈夫だと思う。」
「少し待って欲しい。」
「時間が欲しい。」

長い時間をかけて言葉少なめに優君が私に向けたセリフは、こんなものだ。
わたしには、弱いと思った。
まだまだ弱い言葉たちは、私を安心させはしなくて。

目からは涙がボロボロこぼれた。

理由はなんとなくわかった。

年齢が高いということ。
お酒を飲むというのもある。
夜帰るのがおそい。
これだけで反対するには十分だった。

明日は、私の家族に優君を合わせる日で、お兄ちゃん夫婦も来るし、何より両親が楽しみにしており、朝から明日の食事をするお店の話になると、明らかに声が弾んでいた。

結婚する人を紹介する集まりなのに、おばあちゃんが反対していることによって、「もうすぐ別れるかもしれない人を紹介する」会になってしまう。

松たか子主演の「お見合い結婚」ってドラマが好きだった。
ユースケサンタマリアとお見合いして、色々あって結婚する話で。
破天荒で男運の悪い松たか子の役に自分を置き換えてみていた。
ユースケのような相手が自分にも現れるかもしれないと思った。

ドラマの架橋で転職をすることが決まったユースケに松たか子の父親が結婚の反対する。
ユースケは松たか子に「結婚できません」と伝える。
理由は「家族の反対がある結婚ゆるされないから」であり、それでも松たか子は喰ってかかかる。

「どうして?」と詰め寄る松たか子に、ユースケは啼きながら最後に「それは僕たちがお見合い結婚だからです。」と言う。

お見合い結婚で第一の条件は「家族の公認」であり、第二に「本人たちの希望で、どうしても家族の了解は必要で、私はユースケの言葉が頭をよぎった。

もうすぐ、この言葉を言われるのかもしれない。

「僕たちはお見合いだから結婚できません。」

■最後の晩餐会

優君は、「このことは、サクラのお父さんとお母さんには黙っていて欲しい」と懇願した。
「言ってしまえば、もうサクラのご両親に反対されて、もう僕たちはあえなくなる。」

「でも、明日、どうするの?」

「でも参加したい。いい?」

明日の食事会を最後に、私たちは、おばあちゃんの説得が終わるまで会わないことになる。

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