■初めて会ったのはあの庭で

あの子と初めてあったのはあの庭だった。
季節は春。
お母さんが手入れした庭は、芝生がすごくいいにおいがして、金木犀が誇らしげに香りをばら撒いていた。

あの子はうちが立てていた、離れのおうちを立てている職人さんのお孫さんだった。

うちの様子を見に来ていたおばあちゃんに手を引かれてあの子はうちにやってきた。

本当ははじめて会ったとき、眼があったのも覚えている。

うちの前の道路をおばあちゃんと横切ろうとしたとき、私の母が、声をかけた。
「どうもこんにちは。いい離れができそうです。」

おばあちゃんはこういった。
「いまからお地蔵さんにおまいりに行こうとしていたんです。」

母はさっちゃんを見て言った。
「サクラもいますし、ちょっとはなれ見に来ませんか?」

私は、3歳で。さっちゃんも3歳で。
お互いを凝視していた。

大人はわからなかったかも知れないが、3歳児にも社交があるのだ。

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