優しい男は否定しない
2005年1月22日■プチ復帰
ご無沙汰しております。
ちょっとだけ復帰しました。
なんとなく仕事も腹を据えてくるもの拒まずで、目の前にあるものを全力でやりつくすしかないと思う今日この頃。
男に対しても、目の前に誘いがあればとりあえずは行ってみようと思うくらいの微微たる活力は芽生えたわけであり。
引きこもっている間に、世の中で流行っているものや、社会への考え方をテレビで知り、自分の着眼点と思考は、知らず知らずのうちに偏っていたようだと改めて認識した。
どうも私は飲んだときに話をすることを社会との窓口的に見ていたのかもしれない。
本当は飲んだときにする話など、明日に持っていくほうがアホだと知っていたはずなのに。
それにつけても、社会との窓口的な役割としてテレビも役に立つ。
映画もしかり。
本や雑誌は個人の情報として何種類かを選ばなければ、偏った見方しかできなくなるので気をつけた。
■映画といえば、「東京タワー」を見た
年上の既婚者の異性に惹かれるという境遇に興味があった。
異性に対する欲が著しく低下しつつある、現在の自分にカンフル剤になって、明治さんへの再び興味がでればいいかなどといやらしい下心もあった。
誘いのメール返信はまだ送れずにいた。
映画を見てから、返事だそうと思った。
映画は。
美しかった。
内容は書かないけど、どっちかっつーと、人妻をただただ愛する岡田君の気分には慣れなかった。
どちらかというと、松本淳君の気が私のカンフルになった。
不倫っつーもんは、楽しい事だけ楽しむものだ。
そこに寂しさがでるのが、人の良心なら良心なんていらん。
その人が大事だという気持ちは二人が会っているときだけあればいい。そうでないときにそんな気持ちを引きずるようならとっとと別れてやれよなどと言う意見をもつ。
なんて乾いた意見だ。
乾ききった私は明治さんに「週末悪いことしましょう。」とメールを打った。
なんて寒い冬だ。
去年もその前も、こんなに寒かったっけ。
私はどうやって冬を越してきたんだろう。
季節を過ごすというのは、無意識に過ぎ行くものだと思っていたけれど、難しいものだと、今は思う。
生きていくこと自体がとても厳しい、大変なことだと意識してしまった。
意識をし始めると、この寒さは手ごわい強敵に見えた。
春、サクラを見ることができるだろうか?
■優しい男は否定しない
気分が進まなかった。
仕事のいきずまりを、明治さんに頼ってしまいそうだから会うのが怖かったのか、気持ちが冷めてしまったのでテンションが上がらないのか。
とにかく前の週は、違う男の子にあってみた。
期待はしなかったが、面白くなかった。
顔はかわいいが、中身が小さく見えた。気がつくと、ヒデさんにしても明治さんにしても、比べるのも申し訳ないくらい大人のいい男に恵まれた強運に感謝してしまった。
先週のことを考えると、明示さんの誘いを土壇場でキャンセルするのはまた引きこもりを生じてしまうと懸念したわけだ。
タイミングの悪いのかいいのか。
金曜日に会うはずなのに4時を回ってもメールが来ない。
仕事が忙しいのか。私がその程度なのか。
どちらでも、いい。
肩透かしを食らった気持ちではあるけれど、私は薄い笑みさえこぼれた。
6時からのミーティングも出席しますと答えた。
前に明治さんは言った。
「今度は7時ごろからゆっくり会おう」
6時からのミーティングは大体1時間。
今日の約束はないものと思った。
ミーティングが終わって携帯をみると明治さんからメールが届いていた。「連絡おくれて悪かった。7時に心斎橋でいかが?」
舌打ちしたい気持ちで着信をみると6時。おせーよ。
「8時に負けて」とあきらめてメールを打った。
私たちは川の上で待ち合わせした。
私は近くで、ビールを一杯慌ててのみほしてから行った。
素面であえない。
彼を見つけた。
不思議な気持ちで彼を見つめた。元優しい上司の彼。今もその優しさは別のものとして私に注ぎ込まれるのが不思議だった。
首を少し傾けて、微笑んでみた。
「よう。悪かったな。」
「あけましておめでとう。」
「ああ、今年もよろしくお願いします。」
頭をペコっと下げる彼をやはり好ましいと少し思った。
今年も。
よろしく。か。
いつまでよろしくやるつもりか?
意地悪にもそんなことを思っていると、「シャンパン抜いて新年を祝おう」と明治さんは私を即した。
その日の彼は、私が特別なんじゃないかと思うほど優しくて素敵だった。つまり惚れられているんじゃないかと思うほど優しかった。
髪を丁寧になでる彼に、言ってはいけないことを言ってしまった。
「そんなに優しいなんて、驚いた。」
彼は少し驚いた表情をして笑った。
「俺が? 俺は優しくないよ」
私は「そのほうがいいね。」と心から笑った。
知っている。
本当に優しい男は否定しない。
確かめたくなってしまった。
明治さんは優しい人間か、そうでないか。
明治さんは優しい人間じゃない。
私はというと、私は優しすぎで身をつぶす。
ご無沙汰しております。
ちょっとだけ復帰しました。
なんとなく仕事も腹を据えてくるもの拒まずで、目の前にあるものを全力でやりつくすしかないと思う今日この頃。
男に対しても、目の前に誘いがあればとりあえずは行ってみようと思うくらいの微微たる活力は芽生えたわけであり。
引きこもっている間に、世の中で流行っているものや、社会への考え方をテレビで知り、自分の着眼点と思考は、知らず知らずのうちに偏っていたようだと改めて認識した。
どうも私は飲んだときに話をすることを社会との窓口的に見ていたのかもしれない。
本当は飲んだときにする話など、明日に持っていくほうがアホだと知っていたはずなのに。
それにつけても、社会との窓口的な役割としてテレビも役に立つ。
映画もしかり。
本や雑誌は個人の情報として何種類かを選ばなければ、偏った見方しかできなくなるので気をつけた。
■映画といえば、「東京タワー」を見た
年上の既婚者の異性に惹かれるという境遇に興味があった。
異性に対する欲が著しく低下しつつある、現在の自分にカンフル剤になって、明治さんへの再び興味がでればいいかなどといやらしい下心もあった。
誘いのメール返信はまだ送れずにいた。
映画を見てから、返事だそうと思った。
映画は。
美しかった。
内容は書かないけど、どっちかっつーと、人妻をただただ愛する岡田君の気分には慣れなかった。
どちらかというと、松本淳君の気が私のカンフルになった。
不倫っつーもんは、楽しい事だけ楽しむものだ。
そこに寂しさがでるのが、人の良心なら良心なんていらん。
その人が大事だという気持ちは二人が会っているときだけあればいい。そうでないときにそんな気持ちを引きずるようならとっとと別れてやれよなどと言う意見をもつ。
なんて乾いた意見だ。
乾ききった私は明治さんに「週末悪いことしましょう。」とメールを打った。
なんて寒い冬だ。
去年もその前も、こんなに寒かったっけ。
私はどうやって冬を越してきたんだろう。
季節を過ごすというのは、無意識に過ぎ行くものだと思っていたけれど、難しいものだと、今は思う。
生きていくこと自体がとても厳しい、大変なことだと意識してしまった。
意識をし始めると、この寒さは手ごわい強敵に見えた。
春、サクラを見ることができるだろうか?
■優しい男は否定しない
気分が進まなかった。
仕事のいきずまりを、明治さんに頼ってしまいそうだから会うのが怖かったのか、気持ちが冷めてしまったのでテンションが上がらないのか。
とにかく前の週は、違う男の子にあってみた。
期待はしなかったが、面白くなかった。
顔はかわいいが、中身が小さく見えた。気がつくと、ヒデさんにしても明治さんにしても、比べるのも申し訳ないくらい大人のいい男に恵まれた強運に感謝してしまった。
先週のことを考えると、明示さんの誘いを土壇場でキャンセルするのはまた引きこもりを生じてしまうと懸念したわけだ。
タイミングの悪いのかいいのか。
金曜日に会うはずなのに4時を回ってもメールが来ない。
仕事が忙しいのか。私がその程度なのか。
どちらでも、いい。
肩透かしを食らった気持ちではあるけれど、私は薄い笑みさえこぼれた。
6時からのミーティングも出席しますと答えた。
前に明治さんは言った。
「今度は7時ごろからゆっくり会おう」
6時からのミーティングは大体1時間。
今日の約束はないものと思った。
ミーティングが終わって携帯をみると明治さんからメールが届いていた。「連絡おくれて悪かった。7時に心斎橋でいかが?」
舌打ちしたい気持ちで着信をみると6時。おせーよ。
「8時に負けて」とあきらめてメールを打った。
私たちは川の上で待ち合わせした。
私は近くで、ビールを一杯慌ててのみほしてから行った。
素面であえない。
彼を見つけた。
不思議な気持ちで彼を見つめた。元優しい上司の彼。今もその優しさは別のものとして私に注ぎ込まれるのが不思議だった。
首を少し傾けて、微笑んでみた。
「よう。悪かったな。」
「あけましておめでとう。」
「ああ、今年もよろしくお願いします。」
頭をペコっと下げる彼をやはり好ましいと少し思った。
今年も。
よろしく。か。
いつまでよろしくやるつもりか?
意地悪にもそんなことを思っていると、「シャンパン抜いて新年を祝おう」と明治さんは私を即した。
その日の彼は、私が特別なんじゃないかと思うほど優しくて素敵だった。つまり惚れられているんじゃないかと思うほど優しかった。
髪を丁寧になでる彼に、言ってはいけないことを言ってしまった。
「そんなに優しいなんて、驚いた。」
彼は少し驚いた表情をして笑った。
「俺が? 俺は優しくないよ」
私は「そのほうがいいね。」と心から笑った。
知っている。
本当に優しい男は否定しない。
確かめたくなってしまった。
明治さんは優しい人間か、そうでないか。
明治さんは優しい人間じゃない。
私はというと、私は優しすぎで身をつぶす。
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