不倫ファンタジー

2004年10月16日
■しょうちゃん

しょうちゃんという人。

私が20歳のころ、ピアノの先生とブイブイ遊んでいた時、今は亡き、イズントと言う引っ掛け橋の近くのクラブで、しょうちゃんを見つけた。

私が、しょうちゃんを見つけた。

背が高くて、顔はマズマズ優しげで、無精ひげなんかもあった。
隣で話してるのを聞いたとき、声がすごく素敵で標準語が印象的だった。
人としての暖かさがすべて滲み出ていた。

運のいいことにしょうちゃんの友達が私に声をかけてきた。
私は待ってましたとばかりに、しょうちゃんの隣に腰掛けた。
しょうちゃんは、居心地が悪そうに、私によろしくとだけ言った。

あれから7年。
しょうちゃんは結婚して子供が東京にいる。
私は相変わらず遊び人のまんまで。

それでも私たちはとても近い存在になってた。

しょうちゃんはたまに東京からメールをくれる。

「今日は月がとっても綺麗です。サクラちゃんと一緒にみたいよ」
「阪神優勝したね。今すぐ大阪に行ってサクラちゃんと飲みたいね」

言葉ではとても言いつくせないほど、彼は暖かい人で。

私たちは、お酒を飲んだ後、そっと手をつなぐ。
何も望まないので心はいつも穏やかで。
相手の優しさだけで胸が一杯になる。
彼といるときの私が一番好きだ。

■木曜日
しょうちゃんとご飯に行った。
月曜も会ったけど、木曜も会った。

しょうちゃんが意外なことを言った。
「本当は、大阪に住もうと思ってた時期があったんだ。」

私は結婚してから思ったのか、結婚する前にそう思ったのか聞きたかったけれど言わなかった。
私たちはほとんどお互いの生活の話をしない。
生活というより、嫁の話や、彼氏の話はしない。
たまに、しょうちゃんが結婚していることを忘れるくらいだ。
なんにも知らないけど、それでよかった。

「そんな時期があったんだね。」
素直にそう答えた。
そしてそれ以上のことも言わなかった。

いいにくそうにしょうちゃんが言う。
「サクラちゃんありがとう。あんなことがあったのに。」
トニーに振られたと月曜にしょうちゃんに言った事を話題に出された。
「…。」
言葉に詰まる。
「嬉しかったよ。」
「そう?私はつらかったの。」
目を伏せた。

「うん。俺は悔しかった。」

すごい優しいから、悔しかったよ。

二人で少し笑った。

目が優しいね。
DODO MORE DODO
優しい君よ。
優しい君よ。
DODO MORE DODO
だから私も君の優しい人でいたいんだ。

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