■やらなくっちゃ
お気に入りのアジア料理店の店長の今年のスローガン
右手をグーにして高々と掲げ
「やらなくっちゃ!!」と叫ぶ。
テンション高く燃え上がる。
それが俺流とのこと。
私はインファナル・アフェアのビデオを借りてきて、トニーレオンを鑑賞しながら「やらなくっちゃ」と呟いた。
これが俺流。
■浴衣ひと悶着
浴衣を着た。
髪は迷ったけど、美容院でセットしてもらった。
いまどきの美容院はユカタセットなるものを用意していて、着付けと髪のセットで3500円
髪だけなら2000円
うれしい。
「かっこよく、あんまり頑張った感はなく、上品に、そして、演歌歌手のようにならないように!」
2000円しか持ってないくせに、注文は一人前。
楽しく美容院のおねえちゃんを笑わせながら、セット完了。
来年のPLの花火はここの美容院の屋上でみんなで飲みながら見ましょうと来年の約束をされた。
俺様覚えていられるだろうか?
なにはともあれ、演歌歌手ではないけど、クラブの親分みたいになった。
上品?下品?どちらともわからない。
しゃーない。まあいいか。
お気に入りの白い浴衣。
母親が娘時代に作った、白い上品な浴衣。
着物のようなかっちりとした浴衣。
帯はきちんとした赤い帯。
怖気づく私。
「トニーと、まだそんなにデートしてないのに、いきなり浴衣で行って引かないかな?」
往生際わるく、先生に電話してみた。
先生は言う。
「いい?サクラ。その人にもっと好きになってもらいたいなら着ていきなさい。どうでもよくて、ただ浴衣を着たいだけなら、勘違いされるからやめといたほうがいいよ。」
そして、クスリと笑って彼女は、最後にこういった。
30超えた男は浴衣に弱いよ。
知ってました?奥さん?
大変勉強になります。
持つべきものは女を武器にできる師匠。
よいしょと、記憶をたどりよせ、浴衣の着付けに入った。
一年に2回くらいは浴衣の着付けの練習をしないと忘れる。
なんとか用意はできた。
■夏の夜の夢
トニーと、心斎橋で待ち合わせをした。
道すがら、浴衣の女の子は2名ほどいたけど、やはり恥ずかしい。
早くも後悔する。
「きれいな浴衣」
と、すれ違いざまに若い女の子が言ってくれた。
ちょっと、気を取り直してトニーの車に向かった。
「やぁ。」
トニーは私を見て、びっくりした顔した。
その表情に少し傷ついて、私はうな垂れる。
「後悔してるの。」
「いや、びっくりしただけ。似合ってるよ。すごく」
頬が赤くなった。
先生に言われたとおり、センスを持ってきてよかった。
早くも汗が出るほど、火照って来た。
目指すは奈良の燈花会 http://www.toukae.jp/
はっきり言ってロマンチックも甚だしい、場所を、選んだ。
それがどうした文句があるか?
この辺が、ザクとは違うのだよ。ザクとはッ!
好きな人とロマンチックにならなきゃ意味がない。
ロマンチックがとまらない。CCBも真っ青。
たまに私はこんな乱心を起こす。
まだ、こんな気持ちが残っていたとは、笑止千万。
トニーは、運転をしながら、よくしゃべる。
「ここ、いい雰囲気のイタリアンレストランだと思って見てたんだけど」
石垣の綺麗な、建物を指差す。
私はコメントに困る。
「今度、あなたと一緒に行きたいな。」
私が飲み込んだセリフをトニーはたどたどしく言う。
あなた。私に向かって言う時トニーはたどたどしい。
普通に今度、あえるんだ。と、安心する。
小娘の様に安心する。
眼を覗き込んで微笑んだ。
トニーは、今度連れて行くねと言って私の輪郭を撫でた。
奈良の燈花会は思った以上に人が多かった。
さて、燈花会とはなにかというと?
『燈花』とは、灯心の先にできる花の形のかたまり。これができると縁起が良いと言われています。『なら燈花会』を訪れた人々が幸せになりますように。そんな願いを込めてろうそく一つ一つに灯りをともします。
なんだと。
ものすごく癒される。
昼間行くと、鹿と寺イメージしかないんだけど、夜行くと、満天の星とは行かないけれど、ゆったりとしたロウソクの光が夢のように美しい。
いきなり暗闇から鹿が出てくるとびっくりするけど。
浴衣だから、鹿にさされると、受身取れないけど。
やっぱり浴衣は危険。
でもね。いいこともある。
浴衣なので、人ごみでよくよろける。
トニーは優しく支えてくれる。
肩を抱いて支えてくれる。
ああ、素敵だな。
この前手だしといて良かったと、不埒なことも考えますが。
とにかく、私には、トニーがやたらとチヤホヤしてくれるのが嬉しい。
私は落ち着いて、トニーにセンスで風を送ってあげたり、優しく笑ったり出来た。
二人でロウソクの光に悪戯したり、お寺の片隅で腰かけて、ラムネを飲んだ。
夜だけど、相変わらず暑かった。
真夏の夜の夢とはこういうことかと。
一人でいると、イライラするような蒸す夜でも、トニーといると、笑えた。
地元まで送ってもらったとき、すでに時間は11時前だった。
トニーの家までおそらく1時間はかかる。
今から帰っても12時。
解散には十分な時間。
一応トニーに聞いてみた。
「なにか軽く食べていく?」
「え、そのつもりだけど。なんで?」
遅いし、ちょっとビール飲むと冷めるまで時間かかるでしょ?
と、もっともなことを言った。
心の中では小娘が「トニー帰ったらいや!絶対いやや!!」と、勝手にわめいていた。その上、ここで帰るといったら、きっとトニーは私の事あまり好きじゃないんだろうなとも思った。
いつもの私の中の男前のおっさんは、盆休みらしく、どこにもいない。
「あの、魚屋さんがやってるダイニングバーに行こうよ。すごく興味あるんだ。ホラ、俺イカ好きだし」
イカ…。そらイカはあるだろうけどもよ。
絶対この人飲みそう。
帰ると言われるよりずいぶん嬉しい回答だった。
お気に入りのアジア料理店の店長の今年のスローガン
右手をグーにして高々と掲げ
「やらなくっちゃ!!」と叫ぶ。
テンション高く燃え上がる。
それが俺流とのこと。
私はインファナル・アフェアのビデオを借りてきて、トニーレオンを鑑賞しながら「やらなくっちゃ」と呟いた。
これが俺流。
■浴衣ひと悶着
浴衣を着た。
髪は迷ったけど、美容院でセットしてもらった。
いまどきの美容院はユカタセットなるものを用意していて、着付けと髪のセットで3500円
髪だけなら2000円
うれしい。
「かっこよく、あんまり頑張った感はなく、上品に、そして、演歌歌手のようにならないように!」
2000円しか持ってないくせに、注文は一人前。
楽しく美容院のおねえちゃんを笑わせながら、セット完了。
来年のPLの花火はここの美容院の屋上でみんなで飲みながら見ましょうと来年の約束をされた。
俺様覚えていられるだろうか?
なにはともあれ、演歌歌手ではないけど、クラブの親分みたいになった。
上品?下品?どちらともわからない。
しゃーない。まあいいか。
お気に入りの白い浴衣。
母親が娘時代に作った、白い上品な浴衣。
着物のようなかっちりとした浴衣。
帯はきちんとした赤い帯。
怖気づく私。
「トニーと、まだそんなにデートしてないのに、いきなり浴衣で行って引かないかな?」
往生際わるく、先生に電話してみた。
先生は言う。
「いい?サクラ。その人にもっと好きになってもらいたいなら着ていきなさい。どうでもよくて、ただ浴衣を着たいだけなら、勘違いされるからやめといたほうがいいよ。」
そして、クスリと笑って彼女は、最後にこういった。
30超えた男は浴衣に弱いよ。
知ってました?奥さん?
大変勉強になります。
持つべきものは女を武器にできる師匠。
よいしょと、記憶をたどりよせ、浴衣の着付けに入った。
一年に2回くらいは浴衣の着付けの練習をしないと忘れる。
なんとか用意はできた。
■夏の夜の夢
トニーと、心斎橋で待ち合わせをした。
道すがら、浴衣の女の子は2名ほどいたけど、やはり恥ずかしい。
早くも後悔する。
「きれいな浴衣」
と、すれ違いざまに若い女の子が言ってくれた。
ちょっと、気を取り直してトニーの車に向かった。
「やぁ。」
トニーは私を見て、びっくりした顔した。
その表情に少し傷ついて、私はうな垂れる。
「後悔してるの。」
「いや、びっくりしただけ。似合ってるよ。すごく」
頬が赤くなった。
先生に言われたとおり、センスを持ってきてよかった。
早くも汗が出るほど、火照って来た。
目指すは奈良の燈花会 http://www.toukae.jp/
はっきり言ってロマンチックも甚だしい、場所を、選んだ。
それがどうした文句があるか?
この辺が、ザクとは違うのだよ。ザクとはッ!
好きな人とロマンチックにならなきゃ意味がない。
ロマンチックがとまらない。CCBも真っ青。
たまに私はこんな乱心を起こす。
まだ、こんな気持ちが残っていたとは、笑止千万。
トニーは、運転をしながら、よくしゃべる。
「ここ、いい雰囲気のイタリアンレストランだと思って見てたんだけど」
石垣の綺麗な、建物を指差す。
私はコメントに困る。
「今度、あなたと一緒に行きたいな。」
私が飲み込んだセリフをトニーはたどたどしく言う。
あなた。私に向かって言う時トニーはたどたどしい。
普通に今度、あえるんだ。と、安心する。
小娘の様に安心する。
眼を覗き込んで微笑んだ。
トニーは、今度連れて行くねと言って私の輪郭を撫でた。
奈良の燈花会は思った以上に人が多かった。
さて、燈花会とはなにかというと?
『燈花』とは、灯心の先にできる花の形のかたまり。これができると縁起が良いと言われています。『なら燈花会』を訪れた人々が幸せになりますように。そんな願いを込めてろうそく一つ一つに灯りをともします。
なんだと。
ものすごく癒される。
昼間行くと、鹿と寺イメージしかないんだけど、夜行くと、満天の星とは行かないけれど、ゆったりとしたロウソクの光が夢のように美しい。
いきなり暗闇から鹿が出てくるとびっくりするけど。
浴衣だから、鹿にさされると、受身取れないけど。
やっぱり浴衣は危険。
でもね。いいこともある。
浴衣なので、人ごみでよくよろける。
トニーは優しく支えてくれる。
肩を抱いて支えてくれる。
ああ、素敵だな。
この前手だしといて良かったと、不埒なことも考えますが。
とにかく、私には、トニーがやたらとチヤホヤしてくれるのが嬉しい。
私は落ち着いて、トニーにセンスで風を送ってあげたり、優しく笑ったり出来た。
二人でロウソクの光に悪戯したり、お寺の片隅で腰かけて、ラムネを飲んだ。
夜だけど、相変わらず暑かった。
真夏の夜の夢とはこういうことかと。
一人でいると、イライラするような蒸す夜でも、トニーといると、笑えた。
地元まで送ってもらったとき、すでに時間は11時前だった。
トニーの家までおそらく1時間はかかる。
今から帰っても12時。
解散には十分な時間。
一応トニーに聞いてみた。
「なにか軽く食べていく?」
「え、そのつもりだけど。なんで?」
遅いし、ちょっとビール飲むと冷めるまで時間かかるでしょ?
と、もっともなことを言った。
心の中では小娘が「トニー帰ったらいや!絶対いやや!!」と、勝手にわめいていた。その上、ここで帰るといったら、きっとトニーは私の事あまり好きじゃないんだろうなとも思った。
いつもの私の中の男前のおっさんは、盆休みらしく、どこにもいない。
「あの、魚屋さんがやってるダイニングバーに行こうよ。すごく興味あるんだ。ホラ、俺イカ好きだし」
イカ…。そらイカはあるだろうけどもよ。
絶対この人飲みそう。
帰ると言われるよりずいぶん嬉しい回答だった。
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